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何をもって「成功」とするか~2023年7月

農業とその関連ビジネスについて15年ほど取材してきて、ずっと考えてきたテーマがあります。何をもって「成功」とするかです。

通常なら、「利益が出ているかどうか」が尺度のひとつになるでしょう。ところが取材で感じるのは、一部の例外を除き、農業で利益を出すのはそう簡単ではないということです。それは必ずしも当事者の努力が不足しているからではなく、農業そのものの収益性が低いことに起因しています。
ここでその原因には触れません。指摘しておきたいのは、かつては「企業が農業をやるべきだ」という意見がかなりあったことです。日本を経済大国に押し上げた企業がノウハウを活用すれば、遅れた農業を立て直すことができるといった意見です。今から考えれば、随分と上から目線です。

実態は惨憺たるものです。名前の知られた大企業が農業やその関連サービスに参入し、次々に撤退していきました。彼らの多くは農業で利益を出すことの難しさに驚き、一度も黒字にできず、静かに消えていきました。
そうした取材を通して思ったのは、農業を評価するには「持続可能性」を見るのが一番ということです。「げんに続いていて、今後も続く可能性がある」ということが、農業にとって大事なことではないかと思うのです。


左から 岡田アナ、セラク持田宏平氏、吉田編集委員


セラクが、「みどりクラウド」を本格的に販売し始めたのは2016年のことです。もちろん、サービスはいまも続いています。ある農家にインタビューしたとき、農場でみどりクラウドの機器を見つけたこともあります。
スマート農業の取材で、サービスや機器を提供している企業から農家を紹介してもらうことはよくあります。でも、農家のほうから「これいいよ」と言って紹介されることはそう多くはありません。そんな経験もあって、セラクの持田宏平さんをゲストにお招きし、お話を伺うことにしました。

持続可能性との関連で言えば、セラクの宮崎龍己代表に2018年にインタビューしたとき、「実需者や消費者と農家をつなぐプラットフォームをつくりたい」という話をしていました。まだ途上ではありますが、同社は生産管理のシステムから流通のシステムへと領域を広げつつあります。
農家は5年や10年といったスパンで仕事をしており、それに向き合うサービスにも長期的な視点が必要です。セラクがどんなプラットフォームを構築するのかを、時間をかけてウオッチしていきたいと思います。