農のミライPLUS

ラジオNIKKEIで配信中の『農(アグリ)のミライ』が、番組やプロジェクトと並行してnoteも始めることとなりました。 『農のミライ』とは、ポッドキャスト配信番組を中心として農業、そして農業にかかわる方すべてを応援するプロジェクトです。

農のミライPLUS

ラジオNIKKEIで配信中の『農(アグリ)のミライ』が、番組やプロジェクトと並行してnoteも始めることとなりました。 『農のミライ』とは、ポッドキャスト配信番組を中心として農業、そして農業にかかわる方すべてを応援するプロジェクトです。

マガジン

  • 杉本記者の取材後記

    杉本記者による取材後記です。

  • 吉田編集委員の取材後記

    国内農業の取材を続けている日本経済新聞社・吉田忠則編集委員にる取材後記をまとめました。

  • スタッフAのつぶやき

    番組制作スタッフAのつぶやき

  • バケツ稲部

    ラジオNIKKEIメンバーで「バケツ稲」をはじめました。

  • 番組情報

    「農のミライ」配信情報をまとめました。

記事一覧

北海道・三千桜酒造へ【杉本記者の取材後記】

北海道旭川・ホーブへ【杉本記者の取材後記】

京都・坂ノ途中へ【杉本記者の取材後記】

三重・VISONへ【杉本記者の取材後記】

長野・サンクゼールへ【杉本記者の取材後記】

杉本さんのご紹介!~新コーナー、始まりました~

どの分野にも共通のことではあるが【吉田編集委員の取材後記】

特別な技術を使い、奇抜なアイデアに頼るのではなく…【吉田編集委員の取材後記】

【吉田編集委員の取材後記】農業の取材をしていて、最近大切だと思うようになったのは「低投入型」という考え方

JA秋田ふるさとの前組合長【吉田編集委員の取材後記】

農林中金総合研究所の平沢明彦さんにコメントを求めるようになってから【吉田編集委員の取材後記】

農業はコンサルティングという仕事にとって難しい分野です

「上農は草を見ずして草をとり、中農は草を見て草をとり、下農は草を見て草をとらず」【吉田編集委員の収録後記】

滋賀に行ってきました➁

太平洋戦争後の食料危機を脱し【吉田編集委員の収録後記】

【吉田編集委員の取材後記】「できっこない」という見方を退け、新しいことに挑んで道を切り開く

北海道・三千桜酒造へ【杉本記者の取材後記】

「僕は教えるのが好きなんですよ。地元の方が継ぐということになれば、ここに来たかいも本当にあったと思う」。2020年に北海道の旭川空港近くに位置する東川町まで距離にして約1500キロ、酒蔵もろとも「世紀のお引っ越し」をした三千桜酒造で、今年も9月から日本酒の仕込みが始まった。同社の山田耕司社長は、「地酒というのは、地元の人がつくって地元の人に提供するのが基本」と語る。150年近くにわたってつないできたのれんを、東川町の担い手につなぐことを視野に入れている。 三千桜酒造のルーツ

北海道旭川・ホーブへ【杉本記者の取材後記】

そのイチゴは、「夏瑞(なつみずき)」という名前の通り、みずみずしさとしゃきっとした食感、甘みとさわやかな香りを持ち合わせた味わいだった。7月下旬、旭川空港からほど近い北海道東神楽町のホーブ本社を訪ねると、大雪山系が一望できる敷地に並ぶビニールハウス内には夏の盛りとは信じられないほど多種多様な熟れたイチゴがなり、甘い香りを放っていた。 イチゴ産地としては栃木や福岡のイメージが強いが、両県が誇る「とちおとめ」や「あまおう」といったブランドは基本的には春から初夏の年に1度収穫する

京都・坂ノ途中へ【杉本記者の取材後記】

「有機農業の担い手は、『隠れキリシタン』のように点在している」。有機野菜を農家から直接買い、個人向けに定期宅配する坂ノ途中(京都市)の小野邦彦代表取締役は、欧州などに比べてなお圧倒的少数派(耕地面積に占める割合は0.6%、2021年)に属する日本の有機農業の生産者をこう描写する。 坂ノ途中は設立から15年と、ベンチャーとしてはそれなりに社歴が長い部類に入る。取引農家は関西を中心に400軒ほど。契約している生産者のうち、およそ8割が新規参入組というのが特徴だ。環境への負荷を減

三重・VISONへ【杉本記者の取材後記】

交通の便はよいとはいえない。名古屋から電車と車を乗り継いで2時間近く、そのリゾート施設はようやく姿を現した。カーブのある山の坂道を登っていくと大きな三角屋根で覆われた建物が目に飛び込んでくる。芝生には家族連れが思い思いに座ってくつろぎ、三角屋根の下では朝どれの鮮魚や野菜が陳列され、地元の海女さんや生産者が接客している。各地のみそを量り売りする店舗は、まるでジェラート店のような洗練された空間。「食の一大テーマパーク」をコンセプトとした「VISON(ヴィソン)」は、山がまるごと集

長野・サンクゼールへ【杉本記者の取材後記】

「今後10年すれば、売上高の半分ぐらいはグローバルからあがる事業に変わっている」。サンクゼールの久世良太社長は穏やかな口調ながら、力強い言葉でこう語った。追求するのは、単純な和食の輸出ではない。「食のSPA(製造小売業)」という同社がこだわるビジネスモデルが世界に通用するかという挑戦でもある。  だしやごはんのお供、珍味、おかき・せんべいといった昔からの和食を集めた「久世福商店」を国内で約150店、祖業ともつながりの深いワインやジャム、パスタソースを販売する「サンクゼール」を

杉本さんのご紹介!~新コーナー、始まりました~

2024年度始まり、「農のミライ」も装いも新たにリニューアルいたしました。新しいメンバーを迎え、新しいコーナーもはじまり、ボリュームアップ!! 今回の記事では、新しいメンバーをご紹介させていただきます! 4月から始まった『食と農の未来会議2050』を吉田さんと一緒に進めてくださる新メンバー 日本経済新聞社の杉本晶子さんです。 杉本さんにリスナーの皆様にメッセージを頂きました! みなさん、はじめまして。 日本経済新聞社で記者兼キャスターを務めております杉本晶子と申します。

どの分野にも共通のことではあるが【吉田編集委員の取材後記】

どの分野にも共通のことではあるが、制度をつくっただけでは多くの場合、物事はうまく回らない。とりわけ、それが新たなチャレンジであるとき、制度より他の要素が重要になる。取り組みをけん引する人の存在だ。 東京都での新規就農に関して言えば、井垣貴洋さんと美穂さんの登場で、「東京で就農は無理」と言われていた状況が一変した。併せて忘れてはならないのは、東京都農業会議の松沢龍人さんの果たした役割だ。 井垣さん夫婦を含め、この10数年で新規就農した「東京ネオファーマーズ」はすでに70人を超

特別な技術を使い、奇抜なアイデアに頼るのではなく…【吉田編集委員の取材後記】

特別な技術を使い、奇抜なアイデアに頼るのではなく、「普通考えたらこうなる」というシンプルな発想でビジネスを軌道に乗せた好例だろう。アグナビ代表の玄成秀さんが展開している日本酒の1合缶のことだ。 説明を聞くと、とても理にかなった売り方であることがわかる。1合の飲みきりサイズなので、飲み残して品質が劣化する心配がない。瓶と比べて軽いので持ち運びに便利で、落としても割れる心配がない。 一升瓶と比べて量が少ないので、飲み比べを楽しむのにも適している。これだけ各地に地酒があるのだから

【吉田編集委員の取材後記】農業の取材をしていて、最近大切だと思うようになったのは「低投入型」という考え方

農業の取材をしていて、最近大切だと思うようになったのは「低投入型」という考え方です。 いま多くの酪農経営が極めて厳しい状況に置かれています。原因は新型コロナの流行で需要が減ったことと、その後起きたウクライナ戦争で飼料の国際相場が高騰したことです。2つとも、酪農家の力でどうにかできるような出来事ではありません。 ただ苦境の背景にはもう1つの事情もあります。畜産クラスター事業という国の支援策を活用し、機械や設備に投資して経営規模を拡大したことです。市場の縮小やコストの上昇は、大

JA秋田ふるさとの前組合長【吉田編集委員の取材後記】

JA秋田ふるさとの前組合長、小田嶋契さんのお話はいかがでしたでしょうか。ぱっと聞くと、JAグループへの強烈な批判が印象に残るかもしれません。「過激」と感じる関係者もいるのではないかと思います。 でもその言葉をふり返ってみると、農協マンとしての強い使命感が背景にあることがわかります。「農協の役割は産地振興」。小田嶋さんを10年近く取材してきましたが、一貫して強調しているのはその点です。 小田嶋さんの名前が一躍「全国区」になったのは、2018年の「減反廃止」に際して、横並びでコメ

農林中金総合研究所の平沢明彦さんにコメントを求めるようになってから【吉田編集委員の取材後記】

農林中金総合研究所の平沢明彦さんにコメントを求めるようになってから、もう10年以上になる。筆者が農業取材を始めた当初からのつき合いだ。 この間、判断に迷ったとき、様々な研究者に意見を聞いてきた。だが取材を重ねるにつれ、どこか違和感を抱くようになった人が少なくない。 反対に平沢さんに関しては、後になってから真意に気づいたことがかなりある。取材の蓄積が足りず、何を伝えようとしているのかに理解が追いつかなかったのだ。いまの筆者の農業観の根底に、平沢さんの助言がある。 とくに支え

農業はコンサルティングという仕事にとって難しい分野です

農業はコンサルティングという仕事にとって難しい分野です。助言すれば目に見えて収益が向上し、その一部をコンサルティングの対価として支払うという関係がすぐには成り立ちにくいからです。 生産性向上の切り札になるとされるスマート農業に関しても、同様のことが言えます。作業計画や作業状況を管理するシステムを提供していた企業が、ここ数年で何社かサービスから撤退しました。 高齢農家の引退で農地の集約が進んでおり、大規模農家は田畑をどう管理するかが課題になっています。そのためにシステムは必須で

「上農は草を見ずして草をとり、中農は草を見て草をとり、下農は草を見て草をとらず」【吉田編集委員の収録後記】

「上農は草を見ずして草をとり、中農は草を見て草をとり、下農は草を見て草をとらず」。今回のゲストであるサラダボウルグループの代表、田中進さんと話していつも思い出すのは、明代の中国の農書「農説」に由来するこの言葉です。 中農と下農に関するくだりはわかりやすいでしょう。田畑に雑草が生えてしまったとき、刈り取るかどうかの差を示します。ここでは刈るのが正解です。 これに対し、上農は解釈が分かれるかもしれません。普通に考えれば、まだ草が生えないうちに、土を耕して除草の手間を省くことなどを

滋賀に行ってきました➁

滋賀どころか、この後、北海道にも静岡にもお邪魔させていただいているアグリチーム… 書き溜めてしまっている旅行記…今更で申し訳ないのですが、 まずは滋賀の旅行記を書き終えていなかったので、お付き合いいただければと思っています!そして配信はまだまだ聞くことができますのでぜひお聴きいただければと思っております! さて滋賀旅行、もとい滋賀取材2日目!我々がまず向かったのは「農業大学校」さんへ 農業大学校というものを取材前にはお恥ずかしながら知らなったのですが、農業への就職を目指す

太平洋戦争後の食料危機を脱し【吉田編集委員の収録後記】

戦後の食料危機を脱し、高度成長を迎えようとする日本で農業は大きな岐路に立っていました。食料が不足から過剰へと向かうことで収益性が下がり、工業や商業との所得格差が鮮明になったのです。 農林省(現農水省)はそんな状況を踏まえ、農業基本法を1961年に制定しました。他産業並みの所得を実現するのが目的で、いくつかの政策の柱を打ち立てました。その姿勢はいまでは考えられないほど明快でした。 柱の1つは「構造改善」。戦後の農地改革でできた零細な農業経営を改め、規模を大きくして生産性と収

【吉田編集委員の取材後記】「できっこない」という見方を退け、新しいことに挑んで道を切り開く

今回のゲスト、井狩篤士さんが栽培している小麦「ゆめちから」は農業界や食品業界で「魔法の小麦」と呼ばれている品種です。国産小麦の使い道を広げ、食料自給率を向上させる可能性を秘めているからです。 パンやラーメン、パスタは、いまや日本人の食生活にとって欠かせない食べ物です。ところが、日本の小麦は薄力粉や中力粉の品種が多く、それらを作るのには向いていません。生地に弾力がつきにくいからです。 そこに登場したのが、超強力粉の原料になるゆめちからです。中力粉とブレンドすることで、モチモチ感